1/8 カルマスター製作記(その5)

アーリーです。

 

カルマスター製作記の第5回目です。

 

↓↓↓↓↓前回までの本筋↓↓↓↓↓

 

 

early-m92f.hateblo.jp

early-m92f.hateblo.jp

early-m92f.hateblo.jp

early-m92f.hateblo.jp

 

 

 

 

今回はブリッジ編です。

 

 

f:id:EARLY_m92f:20220905230714j:image

 

 

ブリッジにナイロン糸を通して接着してしまうのが一番簡単なのですが

 

 

万が一弦が切れたり緩んだりした場合、ブリッジを剥がさなければ修理できません。

 

 

私は曲がりなりにも製造業の設計職ですので、メンテナンス性はどうしても気になってしまいます。

 

 

というわけで、着脱可能なブリッジを作っていきましょう。

 

 

 

 

 

 

構造は極めて単純で、ブリッジからピンを生やし、ボディ側にそれを差し込む穴を作ります。

 

 

ブリッジにガタは許されないので、ピンと穴のセットは既製品から持って来るのが安全です。

 

 

 

https://www.1999.co.jp/10337893

こちらはコトブキヤから発売されているアイテムで



 

自作のキットに二重関節を織り込める優れものです。

 

パッケージ裏面

 

今回は赤丸で囲った部品だけ使います。

ピンと穴が欲しいだけ

 

 

 

部品の全長は約5mm


加工中の写真を取っていなかったので文章で説明しますが

 

 

ピン側は突起だけを残して、部品を削り、軸が二本あるキノコのような形にします。

 

 

穴側はできるだけ周りを削って小さくし、ボディに埋め込みやすくします。

 

 

 

 

 

ブリッジの裏にくっつけたピンがこちら。

f:id:EARLY_m92f:20230608232703j:image

接着剤でガッチリ固定します。

 

 

ボディに埋め込んだ穴がこちら。

f:id:EARLY_m92f:20230608233119j:image

 

 

 

 

 

裏から見るとこんな感じです。

 

f:id:EARLY_m92f:20230608233123j:image

マスキングテープは座ぐり位置の目印です。

 

 

この部品は元々、取り外しする前提ではないので穴とピンはハマったら抜き取るのは難しいでしょう。

 

 

裏側からピンを押してあげることができれば、外すのが楽になると考えられますので

 

 

ボディの裏もザグって、穴にアクセスできるようにしました。

 

 

これでピンを裏から押してブリッジを浮かし、手でつまんで取り外せるようになります。

 

 

 

 

 

穴へのアクセスだけ考えれば、小さい穴を貫通させればいいだけですが

 

 

見た目が犠牲になってしまうのでそれは避けたいです。

 

 

そこでカルマスターの見た目を損なわずに裏から押す仕組みを考えました。

 

 

上の写真を見て、勘のいい方ならもうお分かりでしょう。

 

 

 

 

 

f:id:EARLY_m92f:20230608234613j:image

 

そう、バックパネルをボタン代わりにしてピンを押せばいいのです。

 

 

 

断面図

(厳密には弦の裏通し穴がなくなります。断腸の思いです。)

 

 

これのお陰でメンテナンス性を確保しつつ、見た目の犠牲を最小限に抑えられます。

 

 

さすがに自画自賛したくなるアイデアです。

 

 

これでブリッジと(副次的に)バックパネルが完成しました。

 

 

パネルの写真は撮り忘れました。

 

 

 

 

 

 

これにてボディに乗せるパーツは一通り揃いました。

 

前記事と全く同じ写真です

 

 


次回は塗装編です。

 

 

ア一リ一でした。

1/8 カルマスター製作記(その4)

アーリーです。

 

前回の記事からかなり時間が空いてしまいました。

 

カルマスター製作記の第4回です。

 

 

↓↓↓↓↓前回までの本筋↓↓↓↓↓

early-m92f.hateblo.jp

early-m92f.hateblo.jp

early-m92f.hateblo.jp

 

 

 

今回はピックアップ、ブリッジ、ジャックを作っていきます。

 

 

 

 

 

まずはピックアップから。

 

https://www.digimart.net/magazine/article/2020111604178.html

 

ピックアップとは弦の振動を拾うマイクにあたる部品です。

 

 

コイルを弦の真下に置き、金属製の弦の震えを電磁誘導の原理で信号を生み出します。

 

 

上の写真はKARMASTERに実際に載っているもので、クリーム色と黒のボビンが特徴的です。

 

 

 

 

 

前回の最後に少しだけお見せしたものは、ピックアップの部品でした。

 

f:id:EARLY_m92f:20210709214146j:image

 

こういった薄い部品はプラ板を切出して作るのが普通ですが、ここまで細かいものを複数作るとなると骨が折れます。

 

 

 

 

 

そこであるアイテムを使います。

 

 

プラストラクトという会社が出しているプラスチック素材です。

 

https://lemongasui.net/products/detail.php?product_id=242

 

断面に様々なバリエーションがあるプラ棒といえばイメージしやすいと思います。

 

 

こちらはよく建築模型に使われるもののようです。

 

 

 

 

私が使ったのはMS-308という型番の、幅2.0mm 0.8mmの細長いプラバンのようなものです。

 

 

細長く切ってあるプラバンといえばそれだけですが、一定の幅で切る作業を回避できるというだけで有り難い事この上ありません。

 

 

近所の店で見かけて便利そうだったので買ってみましたが、思わぬところで役に立ちました。

 

 

 

 

この材料を同じ長さに切り、角を丸めればあっという間にピックアップのボビンのシルエットが現れてきました。

 

f:id:EARLY_m92f:20220905193904j:image

 

エスカッションはガンプラのランナーの端材です。

 

 

 

 

ここでもう一度本物のピックアップを見てみましょう。

 

https://www.digimart.net/magazine/article/2020111604178.html

 

ポールピース(ピックアップ磁石部の銀色の丸)の再現をどうするか考えます。

 

 

 

 

 

 

一度、穴を開けてそれらしく見えないか試してみましたがダメでした。


f:id:EARLY_m92f:20220905193846j:image

 

 

 

 


次に、WAVE社のR・リベット【丸】(写真右)を試してみます。

 

https://www.hobby-wave.com/products/op531-532/

 

直径1.0、1.2、1.6、2.0mmの4種類ある半球上のパーツがあるので

 

 

最も小さい1.0mmを切り取ってシルバーに塗装し、先程のボビンに乗せてあげます。

 

 


f:id:EARLY_m92f:20220905193843j:image

一円玉と比べるとその細かさがわかると思います。

 

 

 

 

 

 

エスカッションも塗装して一体化してしまえばご覧の通り、ピックアップの完成です。

 

f:id:EARLY_m92f:20220905193901j:image

 

 

 

 

 

 

 

次はブリッジです。

 

 

 

もちろん弦を張る予定なので、それが可能な構造にしなければいけません。

 

 

 

今回生贄に選ばれたジャズマスターくんでは、1本の長いナイロン糸がヘッドとブリッジを3往復する構造で弦が張られていました。

 

f:id:EARLY_m92f:20220905202644j:image

 

どうせなら同じやり方で弦を張ってしまいましょう。

 

 

そして部品も流用してしまいましょう。

 

 

 

 

 

 

ということで、ジャズマスターくんのトレモロ部とサドルを融合させ、プラ板で周囲を囲めばブリッジの完成です。

 

 

f:id:EARLY_m92f:20220905201123j:image

f:id:EARLY_m92f:20220905201409j:image

 

 

 

 

 

色を塗ればグラフテックを載せたESPのカスタムラボフィックスドブリッジです。

https://www.digimart.net/magazine/article/2020111604178.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、シールドを刺すジャックを作ります。

 

 

https://www.digimart.net/magazine/article/2020111604178.html

 

 

 

これはパーツ流用などは特になく、一から全て作ります。

 

 

プラ板にパテを盛り、板の面から地面を掘るように削っていきます。

 

 

ジャック穴は、ピックアップで登場した丸リベットにくぼみを掘って再現しています。


f:id:EARLY_m92f:20220905193858j:image

 

 

 

 

ボディもくり抜いて、収めてみます。

 

 

いい感じです。


f:id:EARLY_m92f:20220905193849j:image

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、今回作ったパーツをすべてボディに置いてみます。


f:id:EARLY_m92f:20220905193907j:image

 

一気にそれらしくなってきました。

 

 

ノブはジャズマスターの部品を少し加工したもの

セレクターはガンプラのランナーを削ったものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、これで作るべきパーツはすべて揃った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かのように思われますが、まだ終わりません。

 

 

 

 

 

 

冒頭でも話した通り、このKARMASTERにはナイロン弦を張ります。

 

 

弦が何かの拍子に切れたら・・・

 

 

ギターである限り、弦は張り替えられる構造でなくてはなりません。

 

 

弦は長い1本のナイロン糸をヘッド~ブリッジ間を3往復させますが

 

 

ブリッジを完全接着してしまうと、弦をブリッジの中でUターンさせなければ弦は張れません。

 

 

幅1cmほどの部品で、そんな作業は外科医でもなければ不可能です。

 

f:id:EARLY_m92f:20220905230714j:image

※イメージ

 

 

 

 

 

 

というわけで、ブリッジは接着せずに着脱可能な構造にしようと思います。

 

 

今回はここまでです。

 

 

ア-リーでした。

行った・行く予定のイベント

2024

 

2023 

 

  • 2022


2021


2020


2019

1/8 カルマスター製作記(その3)

アーリーです。

 

 

カルマスター製作記の第3回です。

 

 

↓↓↓↓↓前回までの本筋↓↓↓↓↓

 

early-m92f.hateblo.jp

early-m92f.hateblo.jp

 

 

ボディをゴリゴリ削り、業の深い形に近づけていったわけですが

 

 

ここでサーフェイサーを吹きかけ、表面の状態を確認していきます。

 

f:id:EARLY_m92f:20210619205446j:plainf:id:EARLY_m92f:20210708211506j:image

 

サーフェイサーとは、プラモデル制作の際によく使われる特殊な塗料です。

 

缶スプレーなどでパーツに吹き付け、表面の細かいキズを埋めてくれます。

 

今回のように、素材を削ってパテ埋めを繰り返すような作業では必須アイテムと言っていいでしょう。

 

 

 

パテ埋めしたあと表面をヤスリで削ったとき、どんなに平らに見えても表面に細かいキズやデコボコが存在します。

 

そのままでは判別がつかないので、サーフェイサーを吹き付けて表面の状態をリセットします。

 

と同時に細かいキズも埋めてもらいます。

 

サーフェイサーの缶には「1000」「2000」といった数字が書いてあり、同じ数字のヤスリでの傷まで埋められるようです。たぶん。

 

Amazon | GSIクレオス Mr.サーフェーサー 1000 徳用 スプレー 170ml ホビー用仕上材 B519 | カラー塗料 通販

 

 

サーフェイサーの効能をまとめると

・表面を細かいキズを埋める

・デコボコや傷を見えやすくする

 

これによって表面処理の精度を上げることができます。

 

加えて塗装の食いつきを良くするという効果もあります。

 

 

 

ちなみに上の写真にも写ってる塗装ベースはネコポスの箱を再利用した自作ですが、このネコポスは9mmのグッズを購入したときのものです。

 

f:id:EARLY_m92f:20210708222047j:image

 

 

 

 

 

ここで集中力が切れてきたので、ネックの加工をはじめました。

 

カルマスターを始めとするESPのストラト系ギターはヘッドの形がフェンダーと少し違います。

 

f:id:EARLY_m92f:20210708232436j:image

 

 

おわかりいただけただろうか。

 

フェンダーのヘッドは先端が丸いですが、KARMASTERは折返し部分が角になっています。

 

逆にくびれはKARMASTERのほうが緩やかです。

 

この部分はぜひとも再現したいものです。 

 

くびれを埋め、丸いところを尖らせていく方向で行きましょう。

 

 

f:id:EARLY_m92f:20210708211454j:image

 

まずはくびれを埋めます。

 

埋めているのは手元にあった適当なプラモの破片です。

 

このとき接着に使ったのは「黒い瞬間接着剤」です。

 

f:id:EARLY_m92f:20210709204716j:image

 

これは大変便利なアイテムで、接着剤でありながらパテとしても使えるすぐれものです。

 

以前の記事に書いた表現を引用すると、パテとしては「溶剤を揮発させる」分類になるため固まったときはだいぶ体積は減ります。

 

しかし瞬間接着剤でもあるので、細かい部分に流し込むことができます。

 

あまりに便利なのでこれ以降、頻繁に使うことになります。


f:id:EARLY_m92f:20210708211451j:image

 

丸い部分をかさ増しし、ヤスリで削って形を近づけていきます。

 

瞬間接着剤のおかげで接着面が段にならずになめらかになってくれます。

 

 

 

 

 

 

光にかざしてシルエットチェック。

 

f:id:EARLY_m92f:20210708211458j:image

 

いいかんじです。

 

 

 

 

このあと、色を塗っていきます。

 

ヘッドも含め、ネックもまるごと塗ってしまいましょう。

 

KARMASTERの市販品はローズウッド指板ですが、滝さんの使用モデルはメイプル指板です。

 

今回は滝さん使用モデルを作りたいので、全部まるごとメイプル色で塗っていきます。

 

メイプル色の塗料は売っていないので、タミヤカラーを調合して木の色を作りました。

 

 使ったのはイエロー、ホワイト、ブラウン、ブラックの4つだったと思います。

f:id:EARLY_m92f:20210709213330j:image

 

 割合は適当に、混ぜながら、フィーリングです。

 

 

 

 

 

指板は少しだけ明るい色にしたいので、ちゃんとマスキングして塗装します。


f:id:EARLY_m92f:20210708211503j:image

 

f:id:EARLY_m92f:20210709212538j:image

 

ヘッドも想定通りの形になってくれました。

 

上の写真の通り、フレットとポジションマークもちゃんと塗り直しています。

 

f:id:EARLY_m92f:20210709215243j:image

ここで活躍したのが「タミヤペイントマーカー クロームシルバー」 です。

 

そのままペンとしても使えますが、ペン先を押すことで中の塗料が外に染み出してくる仕組みになっています。

 

シルバーの液体を小皿に出して、爪楊枝につけてフレットとポジションマークを軽くなぞるようにして塗料を乗せていきます。

 

さすがに何もない平面に点を書くのは不可能なので、ポジションマークは軽く削って凹みを作ってあります。

 

f:id:EARLY_m92f:20210709215816j:image

大きさ比較の写真です。

 

これだけ小さくても、意外となんとかなるものです。 

 

 

 

 

f:id:EARLY_m92f:20210709212541j:image

 ネック裏も少し色を変えて塗っていきます。

 

 

 

 

 

これにてネックは完成しました。

 

さて、次は一体何を作りましょうか。

 

 

 

 

 

実はネックと一緒にもう一つ、ある物体を塗装していました。

 

先ほど載せた写真にヒントが写っています。 

f:id:EARLY_m92f:20210709214146j:image

 

 

 

 

アーリーでした。

 

【ご報告】

アーリーです。

 

 

本日は応援してくださっている皆さんへご報告がございます。

 

f:id:EARLY_m92f:20210706212343j:image

 

遅れてのご報告となってしまい恐縮ですが、6月に入籍しておりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友人2人が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ待ってください。

 

ページを閉じないでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふたりとも長い付き合いの友人ですので、感動もひとしおということでこの場を借りてお祝いを言わせてください。

 

 

 

 

高校の同級生Yは超絶イケメンの陽キャルックなのに、よく私としょうもなさすぎる話で盛り上がっていました。

 

高校を卒業したあとも、私がいわきに帰ったタイミングで未だに会っています。

 

会話のレベルはいつになっても上がりませんが、そういう話ができる友人はとても貴重です。

 

f:id:EARLY_m92f:20210706212352j:image

 

結婚おめでとうございます。

 

 

 

 

 

 

Sは大学入学して一番最初にできた友人です。

 

同じサークルにも入ったので、4年間かなりの時間を一緒に過ごしました。

 

彼女のYさんは他大でしたが、非常に社交性があり、あっという間に我々同期と友達になってしまいました。コミュ力おばけです。

 

冒頭で友人2人と言いましたが、実質3人です。(冒頭の入籍届の写真はこの二人のものです)

 

f:id:EARLY_m92f:20210706212751j:image

 

9年付き合っての結婚、おめでとうございます。

 

 

 

 

 

身近な友人が結婚すると、自分でも予想外に嬉しいものです。

 

みなさんの末永いご多幸を祈っております。

 

改めておめでとうございます。

 

そして写真の掲載許可をいただきありがとうございます。

 

 

私は今まで通りです。

 

 

 

 

 

アーリーでした。

9mm CHAOSMOLOGYツアー 感想

ア一リ一です。

 

 

9mm Parabellum BulletのCHAOSMOLOGYツアーに行ってきました。

 

f:id:EARLY_m92f:20210630200355j:imagef:id:EARLY_m92f:20210630200352j:image

 

初演のZepp Haneda、そしてZepp Nagoyaです。

 

 

今回のツアーは、アルバム「BABEL」「Gjallarhorn」「Phantomime」の再現ライブでした。

 

「BABEL」の再現ライブである第一幕

 

「Gjallarhorn」「Phantomime」の再現ライブである第二幕

 

の二部構成で行われ

 

第一幕では、サポートギターの爲川さん武田さんを交えての6人編成でした。

 

 

 

 

 

 

ツアーのコンセプトが発表されたLINE LIVEで滝さんは「BABEL」について

 

「ライブでの演奏を考慮していないアルバム」

 

と語っていました。

 

このアルバム恐ろしさ、演奏の難しさはこの言葉を聞いただけでも伝わってきます。

 

実際、このアルバムがリリースされた頃のツアーでは滝さんがライブ活動を控えていたということもあり、一部音源を流して演奏が行われていました。

 

ライブ演奏を前提としないこの巨大な塔を、戦友を巻き込み6人がかりで制覇しようというわけです。

 

 

 

 

初演、会場に入りステージを見るといつもと違った光景が目に入りました。

 

ステージの幕が閉じているのです。

 

「BABEL」リリースツアーのライブ映像でも同じ光景を見たことがあります。

 

 

 

開演のブザーととも幕が開き、オープニングのSEが流れます。

 

このSEはこの公演のために収録されたもののようで、オープニングでありながらエンディングのような寂しさをもった雰囲気の曲でした。

 

「BABEL」の再現ライブの始まりは、すなわちリリース当時の因縁に決着をつけることを意味する。

 

そんなメッセージが込められているかのようでした。

 

 

 

 

ステージには、横一直線に並んだ9mmの4人と、その後ろに控えるサポートの2人の姿が。

 

人数の圧と、普段はありえないステージ配置。

 

これらがSEの雰囲気とあいまって、このライブは只事ではないと本能的に感じました。

 

そして、最近は白い服を着ているイメージの強かった菅原卓郎が、全身黒ずくめです。

 

完全にやってます。

 

彼らの後ろには、このツアーのタイトルが書かれた巨大なアートワークが掲げられていました。

 

 

 

 

ライブが始まると演者一同、とんでもない集中力で「BABEL」の曲たちを次々とこなしていきます。

 

このバンドにとって「BABEL」の再現ライブとは、ライブ以上の意味を持ちます。

 

滝さんをはじめ、メンバーが皆いつもと変わらないレベルのパフォーマンスでこのアルバムを完成させていく姿は、まるでひとつの演劇を見ているかのようでした。

 

 

 

 

 

第一幕が終わって幕が閉じ、休憩をはさみます。

 

次は「Gjallarhorn」「Phantomime」のターンです。

 

 

 

私の周りにはコアな9mmファンがたくさんいます。

 

このライブでインディーズ盤が演奏されることが発表されたとき、周囲のファンのみなさんは口々にこう言いました

 

「やっと○○(曲名)が聞ける!」

 

おもしろいのが、この〇〇(曲名)が見事にバラバラなのです。

 

 

 

誰しもが「好きなインディーズ盤の曲がなかなか聞けない」という悩みを抱えているのだなと思うのと同時に

 

インディーズにして、未だにこれだけ愛される曲を大量に作っていたこのバンドの凄さを感じました。

 

ちなみに私の〇〇は「marvelous」です。

 

あなたの〇〇はなんですか?

 

 

 

 

休憩が終わるアナウンスが流れ、客席に緊張が走ります。

 

照明が突然消え、流れてきたのはいつものアレ「digital hardcore」

 

一度閉じられた幕が再び開いていきます。

 

ステージ横のライトが点滅しながら照らすのは、せりあがってくる9mm Parabellum Bulletのバックドロップ。

 

配置はかみじょうちひろを殿に、上手から滝善光、菅原卓郎、中村和彦。

 

これから、9mmのライブが始まる。

 

言葉以上に、目の前の景色が語りかけてきます。

 

 

 

9mm Parabellum Bulletです!!」と叫ぶ卓郎は、さっきまで職人技で難攻不落のアルバムをひとつ完成させたとは思えないほど「いつもどおり」でした。

 

そしてはじまるインディーズ盤の再現ライブ。

 

 

 

私の目の前に現れたのは、ステージを縦横無尽に駆け回る滝さん。

 

それもここ最近とは一線を画した、狂気のような暴れっぷり。

 

演奏を放棄して床に転げ回る姿は、まさに体の不調でライブ活動を控える前の滝さんでした。

 

その光景を見た人たちはライブ後、口を揃えてこう言いました。

 

 

「滝さんが復活した」

 

「”あの頃”の9mmだ」

 

 

まさにインディーズ盤の熱量まで全身で再現するかのようなパフォーマンスに、決定的瞬間に居合わせたような感覚になりました。

 

かつてのように暴れまわる滝さんがまた見られる。

 

こんなに嬉しいことはありません。

 

 

 

綿密に構築された第一幕とは打って変わって、身一つで破壊の限りをつくすかのような第二幕。

 

「アルバムを再現する」ことの本当の意味を目の当たりにしたような気がします。

 

 

 

 

 

今回のライブで演奏されたインディーズ盤「Gjallarhorn」とは北欧神話では「世界の終わり、ラグナロクの到来を告げる角笛」のことだそうです。

 

世界の終わりのような9mmの熱量が完全な姿になりつつある今、「Gjallarhorn」と名付けられたアルバムがツアーの先々で演奏されることに、何かしらの意味を感じずにはいられません。

 

 

 

 

ツアーは残るところ2公演。

 

無事に完走してくれることを願ってやみません。

 

 

 

 

 

余談ですが、名古屋公演に合わせてALLAROUNDさんが、滝さんの持っているモデルと全く同じシャツを数量限定で発売しました。

 

開店前から待って、無事購入することができました。

 

f:id:EARLY_m92f:20210630233748j:image

大事に着ます。

 

 

 

 

最後に、現地でお会いした皆さんありがとうございました。

 

生き延びて、またどこか出会いましょう。

 

 

 

 

ア一リ一でした。

1/8 カルマスター制作記(その2)

ア一リ一です。

 

 

1/8カルマスター模型の制作日記の第二話です。

 

前回までの本筋↓

 

early-m92f.hateblo.jp

 

 

今回、生贄となった1/8のジャズマスターくんは、今から10年以上前に発売された「Fender Guitar Collection」という食玩シリーズの第3弾にラインナップされていたものです。

 

f:id:EARLY_m92f:20210619104240j:image

 

このシリーズは、基本的に全10種ほどのランダム封入、いわゆるブラインド商品でした。

 

f:id:EARLY_m92f:20210619104757j:image

 

発売から10年以上経ってもなお、フリマアプリで取引されています。

 

中には未開封のものも出品されており、価格は一箱あたり1000円〜2000円ほど。

 

当時の定価は約500円だったそうです。

 

多少プレミアがついていようが関係ありません。

 

「カルマの花環」を口ずさみながらナイフを入れて部品を取り外します。

 

 

\コンニチハ/

f:id:EARLY_m92f:20210619110222j:image

 

ボディに付いているパーツは、ピックガードとブリッジだけ。そしてセットネックです(ギタリストジョーク)

 

ヘッドの裏にはクルーソンタイプのペグがひとつのパーツでまとまっています。

 

弦は一本の長いナイロン糸を、ヘッドとブリッジの間を往復させて固定してあります。

 

小さいだけあってシンプルな構造ですが、細かなディテールはしっかりしています。

 

私のような人間の手に渡っていなければ、今頃ショーケースに綺麗に飾られていたことでしょう。

 

 

ここで実物のカルマスターと比較してみましょう。

 

f:id:EARLY_m92f:20210619110702j:image

これはESP御茶ノ水店で展示してあった、本人使用機です。(写真撮影可)

 

カルマスターは非常にシンプルな構造で、必要最低限のパーツしか存在しません。

 

ピックアップ×2、ブリッジ、ボリュームノブ、セレクター、ジャック。

 

これらが黒い板に、一直線上に並んでいます。

 

これなら、シンプルな黒い板とパーツたちを作ってしまえば組み立ては簡単です。

 

ボディである黒い板は、パーツが乗る部分だけ他よりも厚くなっています。

f:id:EARLY_m92f:20210619212206j:image

 

実物の製造工程では、厚さ17mmの板の中央に板を追加で裏と表に接着し、ザグリを入れてパーツを組むようです。

 

「軽いギター」がコンセプトなので、限界までボディを薄くしたようですが、パーツを乗せるためには最低限の厚みが必要なので、中央部分に板が足されるわけです。

 

 

模型を作るにあたってジャズマスターのボディはすでにあるので、厚い部分と薄い部分を分けて削っていけば形を作れそうです。

 

プランとしては、ジャズマスターのシルエットの板を作り、ヤスリで削って薄いエリアを作っていくことにします。

 

まずやることは、ボディのザグリを埋め、ジャズマスター型の板にすることです。

 

素材はプラスチックなので、パテを使って埋めていきます。

 

手元にあったタミヤパテをドバッと

f:id:EARLY_m92f:20210619113315j:image

 

この時の私は、パテ埋めに関するノウハウがあまり無かったため、動き出してからこれが悪手であることに気付きます。

 

パテには大きく2種類ありまして、溶剤が蒸発して固まるタイプと、物質の反応によって固まるタイプです。

 

いま私が使ったのは「溶剤が蒸発するタイプ」です。

 

「溶剤(シンナー)が蒸発するタイプ」は、練りわさびのように好きなだけ出して、くっ付けて、放置すれば固まるので扱いやすいです。ボンドのようなものです。

f:id:EARLY_m92f:20210619114704j:image

タミヤパテ ベーシックタイプ)

 

 

しかし溶剤が蒸発することで、体積が減り、固まる頃には半分ほどになってしまいます。(俗にヒケと呼ばれます。)

 

加えて、接着を良くするためにシンナーが土台のプラスチックを溶かします。溶けた部分はシンナーがちゃんと蒸発するまでは固まりません。すなわち風通しのいい部位に使うべきものです。

 

以上のことから、このタイプは「厚盛り」と「閉鎖空間」には不向きであることが分かります。表面にちょっとした肉付けするには適しています。

 

 

今回の場合、もう一方の「物質の反応によって固まるタイプ」のパテを使うべきでした。

 

f:id:EARLY_m92f:20210619210043j:image

タミヤ エポキシパテ)

 

 

細かい説明は割愛しますが、こちらは体積変化が少なく、土台のプラスチックを溶かしません(多少は溶かすかもしれませんが)

 

しかも揮発性はそれほど重要ではない(と思う)ため、まさに巨大な穴埋めにはもってこいです。

 

それに遅れて気づいたため、ひとまず揮発タイプのパテを掘り起こして、反応タイプを敷き詰めます。


f:id:EARLY_m92f:20210619113319j:image

(灰色が揮発タイプ、黄色が反応タイプです)

 

 

 

パテの話しで遠回りしてしまいましたが、なんとか穴埋めをすることができました。

 

このまま数時間〜数日置き硬化を待ちます。そしてヤスリで削っていくのです。

 

 

 

 

 

数日置き、やすりがけを始めた写真がこちら。

 

f:id:EARLY_m92f:20210619205446j:image

中央ブロックを残すため、マスキングテープで境目の目印をつけています。

 

よくみると、灰色と薄黄色のダブルの層になっているのがわかると思います。

 

細かい隙間があいてしまっていますね。しかしこの程度、大したことではありません。穴は埋められます。

 

 

f:id:EARLY_m92f:20210619210528j:image

同じ要領で裏側も削っていきます。

 

なんとなくそれっぽいスジが出てきたらネックを当ててみます。

 

f:id:EARLY_m92f:20210619210900j:image

ええやんええやん。

 

 

初動からここまで4日。

 

続く。